飛べない鳥

・いちゆきさん

夏の澄み渡った青空の下、ひとつの大きな夢を持ち倦ねていた自身の姿を、
大空に憧れを抱き、翼を余らしている一羽の鳥に見立てて書かれた曲。

真夏の一歩手前の季節に、さんさんと降り注ぐ日の光を受け、
心地よい風に乗って大空を舞う。
そんな、仄々としたリズムがどこか心を落ち着かせてくれており、
又、その情景を歌った朗らかなテンポが晴れ渡った気持ちを更に和ませてくれています。

心に潤いをもたらせてくれるメロディーに彩られながらも、
この曲の歌いだしほんの少し切実です。
けれども、すぐさまそれを払拭させてしまう場面を迎えます。
大いなる夢と目標をもって、
今これから飛び立とうとしている姿が明るく爽やかに歌われているからです。
この曲の『飛べない鳥』とは、あいchan自身のことで、
大いなる一歩を踏み出し、暗闇を彷徨っていた気持ちに終止符を打ち、
なくなった迷いのもと、さらなる未来図を見出した晴れやかな気持ちを、
大空を自由に舞うことの出来る鳥にたとえて表現されています。
また、曲の中では『飛べない鳥』は、最後まで『飛べない鳥』で大空を舞ったり、
飛び立ったりする場面は見受けられません。
これは、まだまだ夢への入り口へと向っている、
そして、いつの日か憧れの大空を気持ちよく舞ってみたい。
そんな想いが込められているように思えますね。

この大地を見下ろす大空は永遠無限の存在。
そんな、大空を悠々自適に飛び回る高い鳥はいつもいつまでも憧れの存在。
後に「あきらめなければ、夢は叶うのです」と明言したあいchanにとって、
まだまだ夢は遠い存在だった頃、
大空を優雅に舞う高い鳥に自分の未来図を当てはめていたのかも知れませんね。

(2006.04.22掲載)